建物明け渡し訴訟の訴額計算とは?アパートの事例でわかりやすく解説

アパートの建物明け渡し訴訟で必要な訴額計算を解説。計算方法や専門家への相談ポイントを押さえ、スムーズに手続きを進めましょう。

目次

目次

  1. 建物明け渡し訴訟とは?
  2. 訴額の基本と重要性
  3. 訴額の具体的な計算方法
  4. 【実例】アパートの建物明け渡し訴訟における訴額計算
  5. 訴額計算を誰に相談すべきか?
  6. 訴額計算のための必要書類と証拠

1. 建物明け渡し訴訟とは?

アパートやマンションの借主が家賃を滞納し続けた場合、家主は法的手続きを通じて建物の明け渡しを求めることができます。この手続きを「建物明け渡し訴訟」といい、裁判所を通じて強制的に借主を退去させることが可能になります。

2. 訴額の基本と重要性

訴額とは?

訴額とは、裁判において原告(家主)が被告(借主)に対して求める金銭的価値のことで、建物明け渡し訴訟においても重要な要素となります。

訴額が重要な理由

  • 申立手数料の算出基準: 裁判所に支払う印紙代は訴額によって決まります。
  • 裁判所の管轄: 訴額が140万円以下なら簡易裁判所、それを超えると地方裁判所が管轄になります。
  • 弁護士費用に影響: 訴額が高くなるほど、弁護士費用も増加する可能性があります。

3. 訴額の具体的な計算方法

建物明け渡し訴訟の訴額は、「固定資産税評価額の2分の1」が基準になります。

計算の流れ

  1. 物件全体の固定資産税評価額を確認
  2. 賃貸物件の専有面積割合を計算(全体の床面積から対象の部屋の割合を算出)
  3. 専有面積割合に基づき評価額を計算
  4. 算出した評価額の2分の1を訴額とする

4. 【実例】アパートの建物明け渡し訴訟における訴額計算

ケーススタディ

  • アパート全体の固定資産税評価額:500万円
  • アパート全体の床面積:100㎡
  • 明け渡しを求める部屋の専有面積:25㎡

計算手順

  1. 1㎡あたりの評価額 = 500万円 ÷ 100㎡ = 5万円
  2. 明け渡し対象の評価額 = 5万円 × 25㎡ = 125万円
  3. 訴額 = 125万円 ÷ 2 = 62万5千円

この場合、訴額が140万円以下のため、簡易裁判所での手続きが可能となります。

5. 訴額計算を誰に相談すべきか?

訴額計算や訴訟手続きについて不安がある場合、以下の専門家に相談できます。

1. 不動産鑑定士

物件の評価額の正確な算定をサポート。

2. 司法書士

簡易裁判所(訴額140万円以下)での代理人として対応可能。

3. 弁護士

裁判手続き全般を担当し、訴訟の進行や和解交渉も可能。

6. 訴額計算のための必要書類と証拠

建物明け渡し訴訟を進めるには、以下の書類を準備しておくことが重要です。

  • 賃貸契約書(物件の賃貸条件、契約内容を証明)
  • 家賃滞納の証拠(入出金明細、督促状)
  • 固定資産税評価証明書(訴額計算の基準)
  • 建物の状況証拠(損傷や居住状況の写真)

これらの書類を整理しておくことで、スムーズに訴訟を進めることができます。


まとめ

アパートの建物明け渡し訴訟における訴額計算は、固定資産税評価額の2分の1を基準に算出されます。訴額によって裁判所の管轄や手数料が変わるため、事前に正確な計算を行うことが重要です。自身での計算が難しい場合は、弁護士や専門家に相談するのが確実です。

明け渡し訴訟をスムーズに進めたい方は、ぜひ専門家に相談し、最適な対応策を検討しましょう。

この記事を書いた人

弁護士|注力分野:不動産・相続

琉球法律事務所の弁護士。不動産部門を率いる弁護士として沖縄の建物明渡や立ち退きの事件を解決してきた実績を持つ。宅地建物取引士の資格を有しており、琉球グループの不動産会社での不動産売買も行なっている。

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