不動産に関するトラブルにおいて、入居者との明渡しの合意が成立した場合、和解書を作成することが非常に重要です。特に、明渡しに関しては後日トラブルに発展しないように、しっかりとした条項を設ける必要があります。本記事では、建物明渡に関連する和解書において必ず含めておくべき条項について解説します。
目次
1. 未払い家賃の支払いに関する条項
多くの建物明渡問題では、未払い家賃の支払いが大きな焦点となります。和解書において、未払い賃料の金額と支払い方法を明確に定めておくことが重要です。
- 未払い賃料の金額の確認 和解書には、未払い家賃の総額を明記します。これは後々金額に関する争いを防ぐために必須です。例えば、「乙(入居者)は、甲(大家さん)に対し、本件賃貸借契約に基づく未払賃料として○○○円の支払義務があることを認める」という内容です。
- 未払い賃料の支払い方法 支払い方法については、支払い期日や一括払いか分割払いかを決定し、その詳細を明記します。分割払いの場合は支払額、支払期限、支払い先口座などを具体的に記載します。
- 遅延の場合の処理 分割払いが遅れた場合の対策として、遅延損害金の利率を明記することや、残金を一括で支払う旨の条項を設けることが重要です。
2. 明渡に関する条項
任意に明渡しを実現するためには、明渡しの確認と部屋に残された動産類の処分に関して明確にしておくことが不可欠です。
- 明渡日についての確認 明渡しが完了した場合、または明渡しの予定日を記載しておくことは重要です。例えば、「○年○月○日をもって、明渡しを完了したことを確認する」という文言が必要です。また、引越し作業に猶予がある場合には「○年○月○日までに明渡しを完了する」という表現が適切です。
- 処分費用の負担 もし動産を処分する場合、その処分費用を誰が負担するかも重要なポイントです。多くの場合、処分費用を入居者に負担させることを定めますが、実際に回収が難しい場合もあります。それでもこの条項を入れておくことで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。
- 室内の動産処理 明渡し後に室内に残された家具や家電製品などの処理についても取り決めを行います。所有権放棄または譲渡の条項を入れることで、大家さんが残された動産を自由に処分できるようにします。また、これに関して後日請求をしない旨の条項も盛り込むことが望ましいです。
3. その他の重要な条項
和解書においては、未払い賃料や明渡しに関する条項だけでなく、以下のような条項を盛り込むことで、今後のトラブルを避けることができます。
- 明渡後の追跡と保証 明渡し後、入居者が再び戻ってこないように、明渡し後の再入居を防ぐための条項を追加することも有効です。もし再び戻る場合の責任を明記しておくと、後の問題が減少します。
- 和解書の署名と捺印 和解書は、双方の署名と捺印を必ず確認した上で作成しなければなりません。これにより、後日「約束が違った」といった言い訳を防ぐことができます。
まとめ
建物明渡に関する和解書には、未払い賃料や明渡し後の処理についての詳細な取り決めが必要です。特に、未払い賃料の支払い方法や遅延時の対応、明渡し後の動産処理についてしっかりとした条項を設けることで、後のトラブルを回避できます。不動産問題においては、法的に確実な手続きを行うことがトラブル防止には不可欠です。和解書の作成には、弁護士のアドバイスを得ながら進めることをお勧めします。