建物明け渡し請求訴訟における訴額と未払賃料の取り扱い

不動産に関する法的問題、特に建物の明け渡し請求訴訟では、訴額の算定方法や未払賃料の扱いに関してしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、「建物明け渡し請求訴訟における訴額の算定方法」と「未払賃料が訴額に与える影響」について詳しく説明します。

1. 建物明け渡し請求訴訟の訴額算定基準

建物明け渡し請求訴訟における訴額は、他の貸金請求訴訟と異なり、請求金額そのものだけではなく、原告が実際に得る経済的利益(建物の使用収益権)が基準となります。この場合、訴額は建物の「評価額」に基づいて算定されるため、建物自体の価値が重要です。

2. 未払賃料と訴額の関係

賃貸借契約が終了した際の建物明け渡し請求には、しばしば未払賃料の請求も含まれますが、民事訴訟法に基づき、未払賃料は訴額算定の「附帯請求」とされます。つまり、未払賃料は訴額算定には含まれず、訴額算定の基準となるのはあくまで建物の評価額です。

例えば、未払賃料が建物の評価額を超えている場合でも、訴額の基準は「建物の評価額」に限られることを理解しておくことが大切です。

3. 建物評価額の算出方法

建物明け渡し請求訴訟で使用される「建物の評価額」は、通常、固定資産税評価額が基準となります。評価額の半分が訴額の基準となり、たとえば評価額が500万円なら、訴額は250万円となります。

また、賃貸契約が建物全体ではなく一部に関するものである場合、その部分の評価額は、全体の評価額に対する賃貸部分の面積割合を基に計算されます。

4. 未評価の建物について

評価額が不明な場合、新築建物価格認定基準表や経過年数調整表に基づいて価格を算出する方法が採られます。この場合も、訴額算定時に適切な資料を提出することが求められます。

5. 訴状提出時の注意点

訴状提出時には、固定資産税評価証明書や価格算出に関する計算書を裁判所に提出することが必要です。特に、評価額の算定が複雑な場合や計算方法に不明点がある場合には、事前に裁判所に確認を取るとスムーズです。

まとめ

建物明け渡し請求訴訟における訴額は、主たる請求である「建物の明け渡し」に基づいて算定されます。訴額の基準となるのは、建物の評価額の半分であり、未払賃料は訴額に含まれません。この点を理解し、適切な手続きを行うことが、訴訟をスムーズに進めるための鍵となります。

この記事を書いた人

弁護士|注力分野:不動産・相続

琉球法律事務所の弁護士。不動産部門を率いる弁護士として沖縄の建物明渡や立ち退きの事件を解決してきた実績を持つ。宅地建物取引士の資格を有しており、琉球グループの不動産会社での不動産売買も行なっている。

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