立ち退き交渉とは?
立ち退き交渉とは、賃貸人(オーナー)が賃借人(借主)に対して、契約の更新拒絶や解約申し入れを行い、物件からの退去を求める交渉を指します。
賃貸人が立ち退きを求める主な理由としては、
- 建物の老朽化による建て替え
- 事業計画の変更
- 自己使用の必要性
などが挙げられます。
立ち退き交渉の法的根拠
立ち退き交渉は、借地借家法第28条に基づき行われます。この法律では、賃貸人が賃借人に対して更新拒絶や解約申し入れをする場合、「正当事由」が必要と定められています。
正当事由とは?
正当事由の有無は以下の要素を総合的に考慮して判断されます。
- 建物の使用の必要性(賃貸人・賃借人の双方)
- 賃貸借契約の従前の経過
- 建物の利用状況
- 建物の現況
- 立ち退き料の支払い(財産上の給付)
特に立ち退き料の支払いは、賃借人の不利益を補うために重要な要素となります。
立ち退き交渉の進め方
立ち退き交渉は、慎重に進める必要があります。適切な対応を取らないと、訴訟へと発展する可能性もあります。
① 事前準備
まず、立ち退き交渉を進める前に、「正当事由」の有無を確認することが重要です。賃借人に対する立ち退き請求が正当であるかどうかを、事前に専門家に相談しましょう。
② 賃借人への通知
賃借人に対して、書面で立ち退きの意向を通知します。この際、
- 立ち退きを求める理由
- 立ち退き期限
- 立ち退き料の提案
などを明確に伝えることが大切です。
③ 交渉開始
賃借人が立ち退きに応じない場合、条件交渉が必要となります。特に、立ち退き料の金額は双方の合意が重要なポイントとなります。
④ 合意の締結
交渉がまとまったら、立ち退き合意書を作成し、双方の署名・押印を行います。この合意書には、
- 退去日
- 立ち退き料の金額と支払条件
- 原状回復義務の有無
などを明確に記載します。
立ち退き料の相場と決め方
立ち退き料の額は法律で明確に定められていませんが、以下の要素を基に決定されることが一般的です。
立ち退き料の決定要素
- 賃借人の営業損失(テナントの場合)
- 引っ越し費用
- 代替物件への移転費用
- 営業補償(テナントがいる場合)
- 賃貸人の建物使用の必要性
一般的に、住居の場合は家賃の6か月~12か月分、事業用物件ではさらに高額になることがあります。
立ち退き交渉でよくあるトラブルと対策
トラブル① 賃借人が立ち退きに応じない
賃借人が立ち退きを拒否するケースでは、
- 正当事由の追加説明
- 立ち退き料の増額
- 代替物件の提供
などを提案し、合意を促します。
トラブル② 立ち退き料の金額で折り合わない
立ち退き料の交渉が難航する場合、
- 周辺の立ち退き事例を調査
- 弁護士を通じた交渉
を行い、合理的な条件で合意を目指します。
トラブル③ 訴訟に発展する
交渉が決裂し、裁判に発展することもあります。その場合は、
- 借地借家法に基づいた主張
- 立ち退きの正当性を示す証拠の提出
- 法的手続きを適切に進める
ことが求められます。
立ち退き交渉は専門家への相談が重要
立ち退き交渉は法的知識が求められる複雑な手続きです。適切な対応を取らないと、賃借人との対立が深まり、解決までに時間がかかる可能性があります。
そのため、弁護士や専門家に相談しながら交渉を進めることが重要です。立ち退きの正当事由の有無や、適正な立ち退き料の算定について、専門家の意見を取り入れることで、円滑な解決が可能になります。
まとめ
- 立ち退き交渉とは、賃貸人が賃借人に退去を求める手続き
- 借地借家法に基づき、正当事由が必要
- 立ち退き料は個別事情により決定される
- 交渉が難航する場合は、専門家への相談が有効
不動産の立ち退き交渉でお困りの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。