賃料増額請求は、土地や建物の賃貸借契約において賃貸人が賃料の増額を求める手続きですが、訴訟を起こす前に必ず調停を申し立てなければならないという「調停前置主義」が適用されます。この規定は、借地借家法に基づき、賃貸人と賃借人の長期的な信頼関係を保ちながら、可能な限り調停を通じて解決を図るために設けられています。
目次
調停前置主義の概要
賃料増額請求において、訴訟を提起する前に必ず民事調停の申立てを行う必要があります。これは、賃貸借契約が長期にわたることが多く、賃貸人と賃借人の間での信頼関係を重視するためです。調停が不成立となった場合のみ、訴訟を提起できるという仕組みです。
調停前置主義が適用される理由
借地借家法における賃貸借契約は、長期間にわたって続くことが一般的です。したがって、賃貸人と賃借人の間で信頼関係を築き、合意を形成することが重要です。そのため、まずは調停手続きによって双方が合意に達することを促進し、訴訟を回避することが望まれています。
調停前置主義の進行方法
- 調停申し立て
賃料増額請求の調停を申し立てるには、物件の所在地を管轄する簡易裁判所に申請します。この段階では、裁判所が第三者の立場で調停を進め、賃貸人と賃借人の合意を促します。 - 調停の結果
調停で合意に至らなかった場合、調停は不成立となり、次に訴訟手続きに進むことが可能となります。訴訟では、裁判所が賃料の適正額を決定しますが、その際、裁判所が選任した不動産鑑定士による賃料鑑定が重要な役割を果たします。 - 調停不成立の場合
調停が成立しない場合、裁判所が訴訟の審理に進み、最終的には賃料の増額に関する判決が下されます。調停での和解が進まない場合でも、訴訟を通じて解決することができます。
おわりに
賃料増額請求において、訴訟を起こす前に調停を申し立てることにより、双方の合意を目指し、できるだけスムーズに問題を解決できる可能性が高まります。しかし、調停が不成立の場合は訴訟に進むことになりますので、その際には適切な法的アドバイスが不可欠です。賃料増額請求についてお困りの際は、不動産に強い弁護士に相談して、最適な解決方法を見つけましょう。