賃料未払いの時効は何年?
賃貸物件のオーナーや管理会社にとって、入居者の賃料未払いは大きな問題です。長期間にわたる未払い賃料については、時効によって請求ができなくなる可能性があります。
賃料未払いの時効は原則として5年とされています(民法166条)。これは、家賃を請求できると知った時から5年間が経過すると、法律上その請求権が消滅するという意味です。
例えば、2023年4月分の家賃が未払いであり、支払期日が2023年3月31日だった場合、2028年3月31日を経過すると時効が成立し、請求できなくなる可能性があります。
また、すでに5年以上の滞納が続いている場合、毎月1ヶ月分ずつ時効が成立していくため、早急に適切な手続きを講じる必要があります。
賃料未払いの時効を止める方法
時効が成立すると、法的に未払い賃料を請求することが困難になります。しかし、適切な対応を取ることで時効の完成を阻止することが可能です。時効を止める(中断・延長する)ための主な方法は次の3つです。
① 催告(内容証明郵便による請求)
貸主が賃借人に対して内容証明郵便で催告(請求)を行うと、6ヶ月間の時効の完成が猶予されます。この間に裁判を起こすことで、さらに時効を中断することが可能になります。
② 債務承認
賃借人が未払いの家賃を認めると、その時点から新たに5年間の時効が開始します。例えば、「分割で支払う」と約束する、あるいは少額でも支払いをすることが債務承認とみなされる場合があります。
③ 裁判を起こす(訴訟)
裁判を起こし、判決が確定すれば、その後10年間は時効が成立しません。これは、長期間にわたり賃料を回収するための強力な手段です。
賃料未払いの充当方法で時効対策
賃借人が分割払いで少しずつ支払っている場合、どの月の家賃として扱うか(充当関係)によって、時効の影響が変わることがあります。
例えば、2023年3月分と4月分の家賃が未払いのまま、2023年4月の支払期日になって1ヶ月分の支払いがあった場合、
- 2023年4月分に充当すると → 2023年3月分の家賃が未払いのままとなり、5年後に時効が成立する。
- 2023年3月分に充当すると → より古い未払い賃料の時効完成を遅らせることができる。
このように、未払い家賃の充当方法を適切にコントロールすることで、時効消滅を防ぐことが可能です。
賃料未払いの時効対策は弁護士へ相談を
未払い賃料の回収や時効対策には、専門的な法律知識が求められます。
- 内容証明郵便の送付
- 賃借人との交渉
- 裁判手続き
- 強制執行
これらの手続きを適切に進めることで、未払い賃料の時効消滅を防ぎ、回収の可能性を高めることができます。
当事務所では、賃貸トラブルに強い弁護士が迅速に対応いたします。賃料未払いに関するお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。